VOL275.TRACYがクロダイに強い理由

何万回もこのルアーを投げた。きっと自分は日本で一番TRACY投げているアングラーに違いない。頭が削れ、塗装は剥がれ、動きが多少変わっても、このルアーでしかバイトが出せない状況があった。

まさにクロダイハイシーズンと言えるこの時期。シャローにクロダイが差すこの時期は身近な場所で大きなクロダイが釣れる好機。特に地元愛知の河川ではその傾向が強く、さらに釣れるクロダイのサイズも良いことから、メインターゲットとして狙うアングラーが多い。もはやその勢いはシーバスを凌ぐ。子供の頃鹿児島で釣りをしていた時、クロダイは波止場や磯のターゲットとしてエサで狙う魚と捉えていたが、今やその感覚は全く違うものになっている。トッププラグからミノー、シンペン、バイブレーション、ズル引き系といった、より多くのルアーに反応する、深みのあるルアーゲームフィッシュだった。そして、僕がこのクロダイを狙うのに多用するルアーがBlueBlueの鉄板バイブレーション「TRACY」。ちょうど良い時期なので、このTRACYの僕なりの使い方を紹介しようと思う。

「とにかく釣れる!」TRACYの高い基本性能

もう詳しく書く必要もないと思うが、数あるソルトルアーの鉄板バイブレーションの中でも、TRACYは「シャローに強い」鉄板バイブだ。日常生活の中で最も身近なフィールドと言えばやはり「河川」。地域にもよるとは思うが、身近な河川のほとんどがシャローだ。そんな釣りをする頻度の高い場所で使いやすい鉄板バイブがこのTRACYである。使いやすさのひとつの要因として「巻き抵抗が小さいこと」があげられる。TRACYはこの巻き抵抗を極力抑えた設計が織り込まれている。

覚えていて欲しい「低重心」「水平姿勢」の魅力

鉄板バイブならではの驚愕の飛距離が出るというメリットはもちろんだが、TRACYの特筆すべき性能は「水平姿勢」だ。いかにも魚らしい真っすぐとした軌道で泳がせる事ができる。そしてもうひとつが「底軸重心」。鉛のレイアウトを見てもらうとわかるように、鉄板バイブの中でも後方まで鉛が配置され、ルアーの低重心を保っている。これは一定レンジを真っすぐとした軌道で、しかも水平姿勢のまま泳がす事に必要な要素だ。車で言うとHONDAの「オデッセイ」みたいなもの。CMの通り低重心は安定した走りを約束してくれている。ではなぜ低軸の安定した走りがルアーフィッシングに向くかという点だが、それはやはり魚の泳ぎ方そのものだ。斜めの姿勢で斜めに泳ぐ魚がいるだろうか。もちろんシチュエーション的には頭を下にしてボトムの餌をとらえる魚はいるだろうが、それが常かというとそうでもない。ここはTRACYの開発で最もこだわった部分であり、TRACYの「バイトの多さ」に最も寄与している部分である。

低重心がゆえの「状態復元力」を用いたメソッド

そしてもうひとつ「低重心」のメリット、それはストラクチャコンタクトした後、ルアーが水平に戻るまでの「状態復元力」だ。この性能はシャローのクロダイを捕るのにかなり必要な要素だ。過去の記事で「オートマチックボトムノック」と表現していたことがあるのだが、ゴロタや蛎瀬といったハードボトムをただ巻きでリトリーブしながらボトムノックさせて、リアクションバイトを誘うクロダイ釣法。ストラクチャを乗り越える際のクロダイのバイト率は異常に高い。そして活性が低かったとしても、岩場でよろめいた瞬間のクロダイスイッチが入る確率も異常に高い。この釣り方が高次元に成立するのも、この「状態復元力」があるからである。ルアーがよろめいた状態からすぐにスイム姿勢を水平に復元し、一定レンジ真っすぐのリトリーブに戻すことができる。スイムベイトを意識する大きな個体に対し広範囲にアピールできるのだから、この計算された戦略的な「ただ巻き」に死角はない。

着水から5秒間の釣り

鉄板ルアーはやはり飛距離を使うことができる。もしハニースポットが自分の立てる位置から遠くにあったり、潮位が高くウエーディングできない時もお陸っぱりから狙う事ができる。陸からからの釣りは準備も容易だし、ある程度ラフなスタイルでもやれるので、気軽にクロダイを狙うことができるのでうれしい。そして、ここでひとつ、おかっぱりからよくやる釣り方を紹介したいと思う。まさに現場百戦から生まれた釣り。一言でいうと「TRACYが着水してから5秒間のリトリーブ」。ここのクロダイのバイト率が異常に高い。もちろんストラクチャを絡めることも重要。よく港湾部でランガンしながら新しい面を撃つ釣りをするのだが、やはり新面のバイト率はクロダイに関わらずルアーフィッシングのターゲット全体に対して強い。ターゲットにとってはやはりベイトが新鮮に映る。この傾向に加え、クロダイは上から落ちてくるものに反応しやすいし、ルアーを追っかけるのも見つけてから早いタイミングな事が多い。実際僕が釣ったクロダイの8割程度はこの間合いである。

例えば自分の狙おうとしているエリアがあるとする。そこよりも遠くに投げてリトリーブで全体を探る。この作業を扇状に投げることで全体を探ったように理解する人も多いだろう。しかし、それで本当にそのエリアは攻め切ったとは言えない。もちろんルアーローテという観点もあるが、ひとつのルアーだとしても「そのルアーの美味しいところ」を使った攻めができているかという視点も必要だ。そのエリアに点在するピンのフィードポイント、そこに着水から5秒の美味しい時間を当てていく。「鉄板だから広範囲に探る」ではなくて、この釣り、このルアーのバイト率が高い間合いを、主要なピンポイントで発動していくという攻め方だ。隣で釣りをしたことのある地元のアングラーなら、きっと僕のTRACYの使い方を知っていると思うが、TRACY25を頻繁にアンダーキャストで多様な場所に投げている。これはそういうことだ。だいたい巻き巻きとリトリーブばっかりしている時は釣れていない時だったりする。

もちろんクロダイを釣るのに他の釣り方もたくさんあり、鉄板が全てではない。伝えたいのは「エリアに適した釣り方をしましょう」ということ。僕も今回話したこの釣りを、ストラクチャのないシャロー河川や、そのブレイク狙いではやらない。ストラクチャあっての釣りだ。とりわけいろんな釣り方ができるこのターゲットを、いろんな場所でいろんな釣法で攻め、戦略を伴った釣りを楽しんで欲しい。


TACKLE DATA

ROD:APIA GRANDAGE STD 86ML/STD 96ML
REEL:APIA VENTURA2508RH
LINE:GOSEN DONPEPE PE1.5
LEADER:SEAGAUR FLUORO 25lb
LURE:BlueBlue TRACY25/TRACY15
OTHER: APIA Xband



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